2018年12月27日木曜日

NVIDIA Coop(NVDA)はなぜ大幅下落しているのか?

毎日厳しい相場環境が続いていますが特にFANGと呼ばれるテクノロジー株は酷い有様です。
NvidiaはFANGには入ってないですが相場を牽引してきた代表的なテクノロジー株の一つです、ですが直近では高値から60%近く下落しQ4のS&P500なかでは最悪のパフォーマンスになっています。


なぜNvidia株はここまで叩き売られているのでしょうか?
Nvidiaは少なくとも売上高は予想を下回ったものの2019のQ3では二桁成長を実現するなど大幅に成長しています。
ただし2019のQ4では売上高が前年比でほとんど横ばいになるとアナウンスしており投資家を驚かせました。
要因やリスクを考える前にNvdiaの業績の中身を見てみましょう。
特にNvidiaは投資家からは自動運転(Auto)やAI・機械学習(Datacenter)の面が注目されていますが、実際のところNvidiaのもっとも大きなセグメントはゲーム(Gaming)でありNvidiaは実際にはPCでゲームをプレイするユーザーの動向に大きく左右されています。


特にNvidiaを語る技術的な面で自動運転は外せないものですがNvidiaの全体の売上高のWeightとしては自動運転は微々たるものです。
また機械学習は大きく成長していますが近年ではGoogleのTPUを始めインテル、Qualcomm、Amazon、Facebook、アリババ、Baidu、AMD、Xilinx、IBM、NXP、HiSilicon、Media Tek、ATMicroelectronicsといった大手や多数のベンチャー企業がしのぎを削っています。
Nvidiaは先行者としてソフトウェア資産や開発環境を簡単に構築できるなど競合他社と比べ優位性は大きいですが、決して無視できる相手ではないのもまた事実です。

ただ上記のこれらはあくまで懸念で問題はゲーミングです。
Nvidiaは暗号通貨のセグメントとしてOEM&IPが挙げられますが実質的にOEM&IPのセグメントは暗号通貨に対する需要の一部しか反映しておらずあくまで下記の画像のようなグラフィック出力を持たないマイニングに特化したボードを対象にしています。


特にマイニングに特化したこれらのカードは採掘速度(ハッシュレート)に優れますが、非常に高価で汎用性が低いです。
大手ならともかく中小のマイナーはこういった製品を購入せずに本来ではゲーム用のGPUであるGEFORCEをこぞって買い集めました、なのでNvidiaのGamingのセグメントにも暗号通貨の需要が反映されています。



その後マイニングにおけるGPUの需要が急増し在庫が慢性的に枯渇するという問題が発生しました。
Nvidiaは在庫の確保のために生産を拡大し、その後暗号通貨市場が崩壊して結果的に大量の在庫を抱えてしまいました。この在庫の調整に1~2四半期かかるとの見通しですが問題は比較的新規のゲームタイトルの販売が低調なQ1は在庫を捌くのに難しい時期のほか、同じく暗号通貨需要で在庫枯渇していたAMDのRadeonシリーズも価格が安定しており、競争が激しくなる懸念があります。
現在、Nvidiaはゲーム用GPUでは主権を握っており例えば大手PCゲームプラットフォームSteamでは7割のユーザーがNvidiaのGeforceシリーズを選択しています。(ただし任意のアンケートであることや正確性が曖昧な部分があるデータです。)
https://store.steampowered.com/hwsurvey/videocard/


現在Steam上で使われているGPUの70%以上がNvidia製のGPUになっています。
このデータにはCPU内蔵のグラフィックシステムも含まれるのでゲームで使われるほとんどの単体GPUがNvidia製と言えるでしょう。
こうした好調の背景には競合他社のAMD(Advanced Micro Devices)のRadeonシリーズの競争力低下と暗号通貨の需要で市場に製品がほとんどなくなってしまったためNvidiaしかゲーム用GPUの選択肢が存在しなかったことが原因にあります。
暗号通貨のマイニングおいて、RadeonシリーズはGeforceと比べてコストパーフォマンス、採掘速度(ハッシュレート)に優れている傾向があり、少なくともマイニング需要で真っ先に製品が入手困難になったのはRadeonの中価格帯の製品でした。
その後Radeonが入手しにくくなったことでGeforceシリーズのマイニング用途で使われるようになりましたが、それまではほとんどのPCゲームユーザーがNvidiaの製品を選択しました。
日本でも似たような傾向がありました。
マイニング需要でRadeon RX 580/570が入手困難に、次のターゲットはGeForce GTX 1060?
その後、マイニング需要の急激な減少でRadeonの製品も価格、在庫とも安定しており少なくとも今後ゲームの分野でも競争が激しくなる可能性が高いと思います。

また今後の同社の製品競争力とライバルとの競争激化もゲームセグメントの不安要因です。
上記の通りゲームに使われる単体GPUのほとんどがNvidia製品という話でしたが2020年にはPC向けのCPU最大手のIntelが同分野の参入を表明しており、詳細はまだ分からないですがNvidiaにとって軽視できない相手です。
また現在後塵を拝しているAMDもコードネームNAVIと呼ばれるGPUを2019年の半ばごろに投入を計画しており、7nmプロセスで製造され低コストで高性能なGPUが期待されています。

それら競合他社の動向に加え、Nvidia自身の製品の競争力低下も指摘されています。
Nvidiaは今年9月から新しいゲーム用GPUとしてRTX2000シリーズを発売しましたが同社の過大な宣伝に比べ新しいRTX2000シリーズはひとつ前のモデルであるGTX1000シリーズに比べコストパフォーマンスは微増で、上位モデルは非常に高価で消費電力も増加しています。
また革新的な技術として発表したレイトレーシング対応ソフトも2018年12月時点ではElectronic Arts社のFPS、Battlefield Vしかなく今後の対応タイトル待ちと言った状況です。
また同社の需要の20%が中国向けで現在米中貿易摩擦で米中が対立しているのも悪材料でしょう。

Nvidiaは暗号通貨の需要崩壊や米中貿易摩擦、今後すべてのセグメントで競争が激化するなかで競争力を維持できるかが大きな焦点となります。

悪材料をつらつらあげましたが個人的には2018/12/26日時点でNvidiaのPERは17倍程度ですしまたDetaCentarやAutoセグメントは成長しており、これらのセグメントに関連するAIや機械学習、自動運転の市場も普及期に入るのはこれからかなと思います。
あらゆるセグメントでのライバルとの競争激化は懸念材料ですが、同社がもつ個々個々のアドバンテージは少なくないです。
今期の4Qないし来季の1Qは厳しい決算内容が予想できますがそれ以降は徐々に決算自体はよくなっていくんじゃないかなと思いますしそれらに伴って株価も回復するんではないかと予想します。
少なくとも懸念材料はあっても今の株価水準なら格安のように思います。


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