2019年7月28日日曜日

データーセンター向けは不振だが予想は上回り通期ガイダンスの引き上げもIntel Corporation(INTC) 2019年度2Q決算を振り返る

会社概要


インテルはパソコン向け半導体メーカーでその他にも、昨年自動車向け衝突防止補助システム、モービルアイを買収したりiphoneに通信モデムを提供したり自動運転や5Gをはじめ様々な分野を強化、参入しています。 特にサーバや家庭用パソコン向けのCPUが主力です。 同社のセグメントは家庭用パソコン向け半導体のClient Computing(CGC) データセンター・サーバー向けの半導体を供給するData Center Group (DCG) Iotソリューションを提供するInternet of Things Group (IOTG) SSDやOptaneメモリをサーバーやクライアントPCに提供するNon-Volatile Memory Solutions Group (NSG), FPGAを提供するProgrammable Solutions Group (PSG) で構成されています。

決算内容


2019年度の第2四半期決算(2019年4月~2019年6月)は7月25日に発表され以下のようになりました。


  売上高     EPS
2018 2Q実   16.962B    1.04
2019 2Q実 
  16.505B
    1.06
2019 2Q予
  15.67B
    0.89
(ドル)
M=100万ドル B=1億ドル
実 実績
予 予想

売上高、EPS共に予想を上回りましたが、データセンター向けの半導体の不振が続き前年同期比では-3%でした、またEPSは自社株買い等もあり前年同期比ではプラスですが純利益自体は前年同期比ではマイナスになっています。
また同日Apple社に5Gモデム事業を10億ドルで売却すると発表がありました。
同社は第二四半期に、約76億ドルの営業活動による現金を生み出し、14億ドルの配当を支払い、30億ドルを使って6700万株を買い戻したとのことです。


セグメント情報


売上高 (2Q前年同期比)

Client Computing(CGC) 8.7Billionから8.8Billion +1%

引き続き供給の制約を受けましたが高価格帯の商品の販売が好調だったほか、コマーシャル分野の好調、および関税の影響を見越した顧客の購入により前年同期比で+1%でした。
またASP(販売価格)は上昇してVolumes(数量)は減少する傾向は続いています。
ただ下半期には供給の制限の解消を見こんでおり今後は流れが変化するかもしれません。


Data Center Group (DCG) 5.5Billionから5Billion -10%

特にXeonプロセッサーの中で高価格帯のモデルにニーズが集中したためASPは上昇していますが、大幅にEnterprise & Gov(企業及び官公庁向け)向けが前年同期比で減少しています。
これは主に中国からの顧客の需要の低下の影響を受けています。
また5Gからの需要もありComms SP(通信サービスプロパイダー)からの需要は前年同期比で+3%でした。
Cloud SP(クラウド企業)向けは前年が大きく成長した反動もあり今季は低調な傾向が続いています。
営業利益率の低下は10nmへの移行とロードマップへの投資の影響を受けました、またサーバー向けの10nmで製造されるIceLakeは2020年後半に量産を予定しています。



Internet of Things Group (IOTG) 880millionから986million +12%

幅広い分野で堅調に推移し、高性能プロセッサーに対する需要が増加したことにより、前年比+12%増(Wind River を除くと+23%)でした。
関税の影響を見越した顧客の需要もありました。

Mobileye 173millionから201million +16%

引き続き堅調に推移していますがやや成長率が落ちているのは気になるところです。

Non-Volatile Memory Solutions Group (NSG)  1.1 billionから940million -13%

引き続き市況の悪化の影響を受けています、直近一部で回復の兆しもあるので次の四半期でどうなるかというところでしょうか

Programmable Solutions Group (PSG) 517millionから489million -5%

クラウド企業や5Gからの需要は強かったものの市況や米中貿易戦争の影響あり年同期比で-5%でした。


見通し


2019年Q3及び通年の見通し

Q3は売上高が180億ドルで前年同期比-6%、EPSが前年同期比で-11%の1.24ドルを予想しています。
CGCとDCGは前年同期比で一桁半ばの売上高の減少を予測しています。


2019年通期の予想は売上高690億ドルから695億ドル、EPSが4.35から4.40ドルにそれぞれ上方修正されました。
CGCとDCGは前年同期比で一桁半ばの売上高の減少を予測しているのは変わりませんが、DCGはクラウドおよび通信サービスプロバイダーからの需要の改善、CGCは供給の安定をそれぞれ下半期から見込んでいます。


株価と指標


2019年7月26日の時点で51.59ドルです。


予想PER(コ):11.7倍
PBR:3.05倍
予想配当利回り(コ):2.42%
Intelの現在の株価と指標

 (コ) コンセンサス予想 (会) 会社予想 

総評と感想


米中貿易戦争等の影響もあり前年同期比では売上高は減少しましたが、予想は上回りましたしガイダンスも上方修正されたのでいい決算だったと思いますが、主力セグメントのClient ComputingとData Center Groupの見通しはあまり良くないなど引き続き今年は厳しい環境が続くかなと思います。
しかし2019年のホリデーシーズンに10nmプロセスで製造されるクライアント向けプロセッサーIcelakeやデーターセンターではクラウド企業の需要の回復を見込んでいる他、IotやMobileyeは堅調に推移しており長期的には同社には投資妙味はあるかなとは思っています。

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