企業概要
楽天は国内ECマーケット大手の楽天市場の運営会社で、近年は金融サービスが大きく成長しています。
またポイント戦略や新サービスを続々立ち上げておりユーザーを楽天内で囲い込む楽天経済圏をビジネスモデルの強みとしています。
同社はインターネットサービスとFinTechの二つのセグメントに分かれており
「インターネットサービス」セグメントは、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』をはじめとする 各種ECサイト、オンライン・キャッシュバック・サイト、旅行予約サイト、ポータルサイト、デジタルコンテン ツサイト等の運営や、これらのサイトにおける広告等の販売、メッセージング及び通信サービスの提供、プロスポ ーツの運営等を行う事業により構成されています。
「FinTech」セグメントは、インターネットを介した銀行及び証券サービス、クレジットカード関連サービス、生命保険サービス、損害保険サービス及び電子マネーサービスの提供等を行う事業により構成されています
また2019年10月のサービス開始に向けて携帯電話事業への参入を目指しています。
決算内容
2019年度第3四半期決算(2018年7~9月期)は11/8日に発表されました。
売上高 | 営業益 | 経常益 | 純利益 | EPS | |
17.7-9 | 236,387 | 51,546 | 47,363 | 32,332 | 23.2 |
18.7-9 | 278,169 | 43,874 | 43,197 | 43,401 | 32.2 |
2019年度第3四半期累計決算(2018年1~9月期)は以下のようになりました
売上高 | 営業益 | 経常益 | 純利益 | EPS | |
17.1-9 | 676,477 | 120,162 | 110,783 | 72,647 | 52.2 |
18.1-9 | 790,330 | 133,544 | 129,298 | 107,923 | 80.0 |
通期で見れば増収増益ですが3Qは増収減益になっています。
株式の評価益が営業利益を大きく押し上げてるほか、楽天の投資先の会計処理の変更、3Qでは一部海外子会社の繰越欠損金が生じたため、税金費用が減少しており結果純利益が大きくなっているので前年比クオーターで比較・評価するのはやや難しいかなと思いました。
例えば営業利益の中身を見てみると
全体的にコストが増加していますが投資事業の評価益が営業利益を押し上げており実態がやや分かりづらいかなと思います。
セグメント情報
(3Q前年同期比)
インターネットサービス
売上高 170,388百万円から193,660百万円 +11%
セグメント利益 41,639百万円から38,528百万円 -9%
Fintech
売上高 83,715百万円から107,445百万円 +28%
セグメント利益 53,222百万円から60,795百万円 +14%
インターネットサービスでは国内ECの流通総額は増えたほか、米国のキャッシュバック・ウェブサイトEbates社等の業容が拡大していることや、MVNOの楽天モバイル、VoipサービスのViberが売上高の増加に貢献してる反面、国内ECの近年の物流コストなど全体的なコストの増加から利益は減少しています。
Fintecセグメントは楽天生命のサービス開始が本格化したほか楽天カード、証券、銀行が順調に推移していますが楽天損保は天災による影響がありました。
また開始予定の携帯電話事業では当面通信サービスのローミング先としてKDDI協業するほかKDDIの物流、決済サービスに楽天の基盤を提供するなど協業と競争を進めるとのことです。
全社体制で基地局の用地確保を進めているほか新しい情報としては基地局設備のベンダーの詳細が発表されました。
HUWAIなど表向きには名前が入ってないのでそうしたリスクはなさそうですが部品単位ではどうでしょうここら辺のリスクはよく分かりません。
引き続き基地局設置にかかるコストは当初より減るとのことですが前倒しで取り組んでいくともしています。
見通し
業績予想は非開示です。
株価と指標
2018年12月7日時点で892円です。
予想PER(コ):11.98倍
PBR:1.76倍
予想配当利回り(コ):N/A
楽天の現在の株価と指標
(コ) コンサンス予想
(会) 会社予想
総評と感想
Fintechセグメントは全体的に好調でしたが、国内ECサービスのコスト増や楽天損保の一時損失などがありました。
KDDIとの協業はポジティブなトピックですが、ローミング以外の具体的な提携の話は今後話を進めていくとのことなのですぐに決済・物流面でのシナジーが出るわけでは無さそうなのは留意はしていくおく必要があると思います。
楽天が投資している投資先の評価は難しいですが楽天が投資している米配車サービスのLyftがIPO申請書ドラフトを米証取委に提出するなど来季以降もポジティブなトピックはありそうです。
ただし来季は携帯電話事業の立ち上げの本格化それに伴う同社が保有している企業の株式の売却を進めており来季はそれらの反動やコスト増で利益が下振れする可能性が高いです。
現在PERコンサンス予想が11.98倍ですが来季まで考えるとそこまで割安さはないかもしれません。
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